一橋・津田塾大学陸上競技部 中長距離パート

チームで実力発揮!学内新記録樹立!!

10月17日、箱根駅伝予選会が行われた。今年はコロナウイルス感染拡大対策で例年とは異なる形で予選会が開催され、陸上自衛隊立川駐屯地の周回コースを約8周するハーフマラソンとなった。天候は雨。昨年のような日差しの強く暑い日とは対照的で体感温度が低く、低体温症などが懸念される過酷なコンディションであった。

本学からは以下の12名が出走した。
4年 萱原、佐々木、田中、毛利、福澤
3年 清﨑、寺田、長友、福井
2年 戸髙、宮本(龍)
1年 西尾

今年の予選会は参加標準記録の水準が昨年までよりも低くなり、参加校の数も増えた。本学は総合記録11時間55分、総合順位33位以上を目標に設定し、レースに臨んだ。

着順でレースを振り返る。

チーム1番手でゴールしたのは長友。入りの10㎞までを抑えて、後半に余力を残しながら宮本や寺田と集団、他大学の選手と3’20/kmを切るくらいの集団を引っ張り、10㎞地点以降集団とともにペースを上げ、15㎞過ぎからさらに加速。最後の直線までは大きく落ちることなく1:08:45でゴール。PBを大きく更新した。部活が活動停止になってから本格的に練習を始めたのは7月に入ってからで、予選会までの間、練習やレースの調子に波があったが、継続して練習を積むことができたことが今回の結果に大きく影響した。来年は最終学年として、結果でチームを引っ張れるような存在になることに期待したい。

チーム2番手は宮本龍二。入りの10㎞過ぎまでは長友と同じ集団で走ったが、集団がペースアップしたときに留まる判断をした。結果的にそこからはほぼ単独走のような状態になってしまったが、持ち前の距離耐性を発揮し、垂れてくる前の選手を回収しながらペースを上げ、1:09:17でゴール。パートで練習を始めるようになってからかなり調子が上がってきていて、昨年の予選会からこの1年で一回りも二回りも成長した。夏から予選会にかけての練習水準はチーム内でもトップクラスである。今年は27大戦で10000mに出るなど少ないながらも実戦経験を積むことができた。これからの1年はチーフ、そしてエースとしてチームを引っ張ってもらいたい。来年の予選会での走りに期待したい。

3番手にゴールしたのは佐々木。スタート直後、3’10/kmの集団で走るが、4㎞過ぎてその集団から離れてその後は10㎞くらい単独走が続いてしまう。15㎞地点で後続の集団に追いつかれるがペースを保ってゴール。記録は1:09:42と実力通りの結果とはならなかったが、展開に左右されながらも地力の強さを発揮してチームに貢献してくれた。練習停止期間中、試験の勉強と両立しながら調子をしっかりと維持し、パート練習再開後その力強さで部員を鼓舞してくれた。本人としては、今回は悔しさをにじませる結果となったが、予選会が近づくにつれて試験の忙しさも増す中で果たしてくれた役割の大きさは計り知れない。今シーズンの残りのレースでのPB更新を果たし、有終の美を飾ってほしい。

4番手は寺田。長友や宮本とスタートから冷静に集団の中で走り、先頭でペースを作るなどしていたが、10㎞地点付近で集団のペースが上がる前後で後ろから様子を見る判断をするが、そこからほぼ単独走になってしまう。それでも大きくペースダウンすることはなく、苦しくも堅実な走りを見せ、1:10:37でゴール。目標通りの結果とはならなかったが競歩との両立をこなしつつも1年次の予選会から今回の予選会まで着実なレベルアップを重ねており、今回もチームの主軸としての役割を果たしてくれた。残りのシーズンはしばらく競歩に力を入れていくが、来年の予選会でも最終学年としてチームを引っ張る立場を期待したい。

チーム5番手は毛利。スタート直後から戸髙とともに3’20/km前後の集団の真ん中あたりに潜り込み、周りの集団の動きを見ながら徐々にペースアップを図った。レース後の自身の反省から、終始自分の調子や周りの様子を見ながら冷静に走り、5㎞毎に綺麗なビルドアップをしており、途中で単独走になっていたとは思えないようなラップを刻み、1:11:22でゴール。活動停止期間中の怪我で思うような練習ができない日々の中で、この予選会に向けてできることを着実にこなし、パート練習再開から予選会直前までで驚異的な速さでの復活を果たした。苦しい状況でも自分と向き合って調子を上げ、当日に最高のレースをした姿は多くの人に元気を与えた。残りのシーズンでの大躍進に期待したい。

6番手でゴールしたのは戸髙。スタートは予定通りの集団で走り、10㎞くらいまでは同じ集団に身を置いた。10㎞を過ぎたあたりで集団の前に出てペースアップ。しかし前の集団までは予想以上に距離があり、単独走になってしまう。前の集団はペースが上がり、後ろの集団とは離れてしまい、結局最後までほぼ単独走状態となってしまうが、大きくペースダウンすることなくゴール。記録は1:11:42。ハーフを走る中で練習量のバランスの保ち方に苦労した夏であったが、周りに流されずに着実に地力をつけることができた。初の予選会で展開を読むことの難しさを知ったレースとなったものの、それは経験を積む中で修正できるものでもある。1年で経験を重ね、来年はチームの主軸としての活躍を期待したい。

7番手でゴールしたのは西尾。スタート後に走っていた集団を冷静に見極めて、後半に体力を残すために10㎞あたりで後退。その後5㎞ほど単独走が続き、後ろの集団に追いつかれそこでペースを取り戻すがラスト1周近くで失速してしまう。序盤で少し攻めた走りとなったが、初めてのハーフで冷静に走り1:11:46でゴール。活動停止期間の影響もあって、チームに合流したのは9月に入ってから。それまでは個人で練習を重ね、パート練習に参加後も1年生とは思えないほど確実に高水準の練習をこなしていった。入部後に初めて走った5000mの記録は現部員のPBのトップタイムであり、今回の結果から距離耐性のレベルの更なる上昇が期待される。来年の予選会でのエース級の走りに期待したい。

8番手にゴールしたのは清﨑。スタート直後、3‘30/kmの集団で走り、序盤で萱原、田中、福井とともにその大集団を引っ張る。15㎞までその集団で堅実にペースを保ち、通過後は一気にギアチェンジ。残りの5㎞はほぼ単独走状態だったものの、途中でペースダウンすることなく走り切り、レース全体として綺麗なネガティブスプリットでゴール。記録は1:12:36。まず忘れてはならないのは、清﨑の専門種目は中距離であり、1週間前まで800mのレースをこなし、あまり十分にハーフに向けた準備ができていなかったにもかかわらずここまでの結果を出したということである。人数不足の長距離パートを選手として手助けしてくれたこと、そしてここまでの走りをしてくれたことに感謝するとともに、来年もし走ってくれるならどんな走りを見せてくれるのか楽しみな選手である。

9番手でゴールしたのは萱原。スタートでオーバーペースを危惧して速い集団にはつかずに3’30/kmの集団で走り、一橋の集団でこの大集団を引っ張った。10㎞あたりまで萱原が中心となって引っ張り、15㎞付近でペースを上げて集団から離れる。一緒にペースアップした選手には着けなかったものの、残り5㎞の間はしっかりとペースアップしたままゴール。記録は1:13:02。なかなかパート練習に参加する機会に恵まれなかったり、27大戦では思うような結果が出せなかったりと不安な部分もあったが、自分の体調をしっかりと見極めて継続的に練習を積むことができていた。その成果を大事なレースで発揮できるところに4年生としての力強さを感じさせる走りであった。残りのシーズンのレースでの集大成を期待したい。

10番手でゴールしたのは福井。スタート直後から萱原、田中、清﨑とともに3‘30/kmの大きな集団を交替で引っ張る。15㎞以降ペースを上げるも萱原や清﨑についていけなかったものの、5㎞ごとのペースとしては確実にペースアップしていた。ラストの直線で足を痛めるも最後まで走り切りゴール。記録は1:13:19。競歩の全日本インカレなど、大きな大会直近にある中で自分なりに練習を重ねることができた。今年の記録は昨年の予選会よりも2分ほど速いタイム。種目が多少違えど活動停止期間中も鍛錬を積んだ成果が出たといえる。今後は再び競歩に力を入れるようだが、その過程で得たものや鍛えたことを来年の予選会で発揮し、最終学年としての力走を見せてくれると嬉しい。

11番手は田中。萱原、清﨑、福井とともに3’30/kmの集団を引っ張り、15㎞まではその集団を維持。15㎞以降に集団が崩れた後、ペースをそのまま保とうとするもうまくいかず18㎞くらいからはペースが落ちてしまう。記録は1:14:26。しかし、チーム10番手までがしっかりと実力を発揮するための貢献は果たし、その走りに清﨑、萱原、福井は結果で答えることができた。今シーズンは怪我からの立ち直りに苦労し、なかなか調子が上がらない状態が続いており、とても辛い時期であった。それでも予選会本番でチームプレイに徹し、総合記録に大きな貢献をしてくれた。予選会の反省では一緒に走っていたメンバーから田中への感謝の気持ちも見られた。確実に部員の記憶に残る存在として、素晴らしい走りを魅せてくれた。

最後にゴールしたのは福澤。スタート直後、3’30/kmの集団に着く予定であったが、当日の調子を考えて1段階遅いペース帯で走ることに。その結果15㎞地点までは大きくペースダウンすることなく押すことができた。しかし、15㎞を過ぎたころに失速。そこからペースを維持することはできず、1:16:18でゴール。清﨑と同じく、福澤の専門種目は中距離であり、今大会1週間前に800mのレースに出場している。残り1週間で清水(4)の怪我は完治せず、実質1週間足らずの調整でハーフに臨むことになった。本人としては悔いが残る走りになったようだが、このレースを走ってくれたことが他のメンバーを鼓舞し、大きなプラスの影響を与えたに違いない。長距離への苦手意識がある中で、チームのために選手としてあの舞台で走ってくれたことに感謝したい。

チームの総合順位は新たな強化校の初参戦などもあり、39位と目標通りとはいかなかったが、チームの総合タイムは11時間52分09秒で目標を達成。これは学内新記録となった。コースやコンディションなどを考慮すると、昨年までの予選会のタイムと比較するのは難しい。しかし、後手に回ってしまった全体での準備を各選手の努力で埋め合わせられたからこそ今回の結果につながったと考えられる。今年の予選会は10番手にゴールする選手が大失速せずにレースを走ることが目標タイムを達成する大きなカギとなっていたが、他チームと比べるとチーム1番手と10番手のタイム差はそこまで大きくなく、昨年と同様にチームの総合力を発揮できたといえる。

今後の課題としては大きく2つ。まず1つは部員数の確保。今年で引退される4年生の除くと現長距離パート部員は7人であり、中距離パートの選手の力を借りないと予選会への出場ができない。大学の規制の緩和とともに新歓に力を入れ、部員数を確保、そして標準記録突破にチームとして注力する必要があるだろう。もう1つは、チーム全体としてのレベルアップである。現在のチームは個人個人の実力に大きな差はなく、絶対的なエースの存在や中間層の更なる強化が必要になってくる。ここ数年では今の競技レベルは高い方であるので、お互いに切磋琢磨しあいながら高い目標を掲げた鍛錬を重ねたい。特に、今回のハーフは全体として大きくペースダウンした選手はおらず、ネガティブスプリットできた選手も多かったが、それは前半で抑えることをしっかりと守った結果でもある。前半から攻めた走りをしても後半に落ちない走力を身に着けることも必要であろう。

来年の予選会に向けてやるべきことは決して少なくない。だからこそチームで協力し合ってできることから着実に行って、また新たなステージに迎えるように精進していきたい。

最後になりますが、当日は朝早くから寒い中応援・サポートありがとうございました。また、テレビの画面上から応援してくださった方々の存在も選手にとって大きな力となりました。本当にありがとうございました。今回、無観客でも大会が開催されたことに感謝しなくてはなりませんが、今後もこの社会情勢は続いていくことが予想されます。そうした脅威に負けず、部員一同協力しあいながらもう一回りも二回りも実力をつけて、強くなった中長パートの姿をお見せできればと思っております。今後とも応援のほどよろしくお願い致します。

文責:中長パートチーフ 長友勇樹

個人順位 記録 氏名 備考
399 1:08:45 長友勇樹(3) PB
411 1:09:18 宮本龍二(2) PB
416 1:09:42 佐々木海(4)
426 1:10:37 寺田倖太朗(3) PB
446 1:11:22 毛利陽人(4)
452 1:11:42 戸髙裕太(2) 初レース
453 1:11:46 西尾 元(1) 初レース
463 1:12:36 清﨑 佑(3) 初レース
472 1:13:02 萱原亮太(4)
479 1:13:19 福井隆真(3) PB
500 1:14:26 田中遼太郎(4)
515 1:16:18 福澤元己(4)
総合成績 39位 11:52:09 学内新
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